ドラマ

今日1人の方が退院していきました。
前にも書いた通り
私のいる病室は耳鼻科の病棟ではありません。
いろいろなドラマをお持ちの患者さんのお部屋です。


私のベッドの左隣の方は
どうやら骨髄に影が映ったらしく
ヘルペスウイルスが骨髄で感染している疑いがあるようです。
今日 病室で髄液検査をしていました。


髄液をぬいた後 患者さんと先生が話をしているうちに
お見舞いの奥様がおいでになりました。


「検査結果が出るより前に抗生剤治療をはじめた方がいいですよ」
「以前、抗生剤治療でひどい目にあったから、結果が出てから考えたい」
「以前はなんという薬ですか?」
「○×何とか…」
「あぁ、今回の治療にはそういう種類の薬は使いませんから大丈夫ですよ」
「自然治癒の可能性もあるんでしょ…。妻とは温泉で治療して、ダメなら杖ついての生活でもいいと話していたんです。」
「まぁ、いずれにしても金曜日に検査の結果が出ますから、治すようにしていきましょう」


そんなやりとりの途中にやってこられた奥様は
「今、家族も空港から向かっていますので」といって先生に丁寧に応答されていた。
先生が病室を後にしてから


奥様が患者である旦那さんに、諭すように語っていました。
「あんた 度胸ないね。私なら検査結果が出るまで点滴打って、それで治ったら『よかった〜!』ってなるよ」
「もし、それが違っていても、金曜日にわかるなら安いもんだよ」
旦那さんがもじもじと
「自然治癒もないとはないと言うし、以前みたいな状態になるくらいなら杖をついて歩くこともいいかなと…」
というと 奥様は
「前の薬のことも先生に言ったんでしょ。それなら大丈夫だよ」
「自然治癒なんて私はないと思っている。私だったらちゃんと治す。ここで治ったらよかったじゃない」



ものすごい愛を感じ
カーテン越しのこの会話に
私の心が震え 涙が流れました。



しばらくして旦那さんが
「パンツ持ってきてくれた?」「引き出し」
と単語でおねだりをすると
「お願いしますでしょ。言わないとやってあげないよ」
と微笑み混じりに応える姿に
いっそう深い愛を感じ
涙が止まらなくなりました。



生きるということはドラマである。


私は急な入院で 家族には誰にも伝えていません。
心配かけたくない という いいわけです。


でした。。。か