空の気持ち<A Message from the sky>

上弦の月
次第に丸みをおびて満ちてゆく。

昔に生きたの人々は
悠久の時の中で
移りゆく自然の姿に驚いたときもあれば


己のちっぽけさや

月見れば 千々に物こそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど

小倉百人一首 より 大江千里

あるいは自らの財のすごさを重ね

この世をば わが世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思えば

藤原道長


自分も刻々と過ぎゆく今を
確かに生きていることを実感したのかなぁ

天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも

小倉百人一首 より 阿倍仲麻呂

風の香りが研ぎ澄まされてゆく。

風が雲を運んで
木々の葉を地面に降らせる。

もうすぐ冬がくる。



繰り返す季節の中で
人は1年という周期を体感していく。
年の瀬が 冬とともにもの悲しさを連れてくるのは
まもなく 今を含む季節が終わることを知っているから
昔の人々はそう感じていたのだろうか…

秋はゆふぐれ。夕日のさして山の端いとちかうなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。まいて雁などのつらねたるが、いと小さくみゆるはいとをかし。日入りはてて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。
冬はつとめて。…
枕草子 より 清少納言